今回のインタビューは、カンボジア・シェムリアップでカンボジアメイド、ハンディクラフトにこだわったお土産物や雑貨などを扱うセレクトショップを経営する中川ゆきこさん。彼女がオーナーの「very berry(ベリーベリー)」は、センスの良いお土産や雑貨を探している欧米人や在住日本人に大人気!
そんな人気セレクトショップオーナーの中川さん。順調に思えるお店も、ここまで来るまでかなりの紆余曲折があったようです。大量にオーダーした商品が全く商品として出せないものだったり・・・。しかし持ち前のガッツと行き当たりばったりの精神で常に前向きに進み続けている中川氏。
彼女がなぜカンボジアでお土産を扱おうと思ったのか?なぜカンボジアメイドにこだわるのか?どんな想いで商品をデザインしているのか・・・OLだった彼女が、なぜ脱サラし、何を思い、どうやってカンボジアでセレクトショップをオープンするにいたったのか。
さあ、ここまでどんなストーリーがあったのでしょうか?そして、中川さんの今後の野望とは・・・
カンボジア・シェムリアップで人気のお土産・雑貨のセレクトショップ「very berry(ベリーベリー)」のオーナー兼デザイナー。
2005年からカンボジア・シェムリアップに移住、2009年にセレクトショップ「very berry」を立ち上げ、2012年に店舗スタイルで本格的に販売をスタート。
中川氏自らが商品をデザインし、作り手と直接交渉して商品化、徹底的にカンボジアメイド、ハンディクラフトにこだわる。
カンボジア地方独特の知られざるご当地土産や雑貨、特産品を見つけだし、そのいいところを残しつつセンスあふれる商品に生まれ変わらせる。
そういったコンセプトで作られたおしゃれで実用的な商品達は、欧米人をはじめとする観光客に人気となっている。
今回の中川さんとの対談インタビューラインナップ!
本記事は、全6本の対談インタビューの最初の2本目となります。
1本目 行き当たりばったり?!カンボジアにいけば何とかなるさ!
2本目 カンボジア人と大ゲンカ!失敗から学んだ大切なこととは?
3本目 お土産屋さんってどんな人が来て、何が売れているの?
4本目 カンボジアで雑貨屋を成功させるポイントとは?
5本目 カンボジアビジネスで生き残っている人に共通するたった一つのスキルとは?
6本目 全然違う?驚異のカンボジアシルクを使った今度の展開とは?
7本目 中川ゆきこさんからあなたへのメッセージ
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会社を辞めてからどうしたの?
中川ユキコ(以下、中川):で、仕事を辞める決意をして。自分でそういう雑貨を集めて、世界中からくる観光客に知ってもらうための何かを始めたい、何か始めようと思ったんですね。で、まずはとりあえず、カンボジア人たちのお土産、雑貨って何があるんだろうっていうところから興味が始まって、会社を辞めて旅を始めたんですね。
中西賢一(以下、中西):結構なんか順番としては、まだ行き当たりばったりな感じですね。でも、普通ビジネスやろうと、お土産屋さんをやろうとしたら、なんかこう1つ絶対なんか売れると分かってる売れ筋商品みたいなのがあって「これはいける、だから独立しよう」みたいな、何かそんな順番になりがちじゃないですか?
中川:そう?
中西:(笑)
中川:ほんとですか? 私はまだ分からない未知のものを探したいってという・・・
中西:絶対あるはずだと?
中川:うーん。あとは、何かカンボジアの本当にローカルな市場で売ってるザルとか・・・
中西:売ってますよね、いっぱいね。
中川:そうなんですよ。でも、とても残念な、もうちょっとひねったら、かわいいお土産になるのになあっていう・・・
中西:ちょっと大きすぎたりとか、ちょっと実用的すぎちゃって、あんまりかわいらしさっていうのと、ちょっと違いますよね。
中川:そういうのを作り手さんと一緒に話し合いながら、もっとお土産になるものにしていきたいなと思って、そういう産地を旅をして探そうとして、1カ月ぐらい旅をしました。
中西:何カ所ぐらい回ったんですか? 結構回って・・・
中川:結構回りましたね。
中西:その時実際にその旅で、やっぱり手応えがあるようなものってのは、結構見つかったんですか?
中川:見つかりました。見つかりました。はい。
中西:それを、見つかったと。見つかったそのあとって、どうしてったんですか?
中川:そうですね。まずは作り手さんたちに、私がこういうものを作りたいというデザインを見せて、作ってもらって、ダメだしをして、また、作ってもらって、ダメだしをして、やっとできたっていうところから始まりましたね。
カンボジア人大激怒!最大のトラブル発生!
中西:そこから、そこで初めて売り物のかたちになってお店に並ぶわけですよね。そこの教育期間というか、できあがるまでの教育期間って、どのぐらいかかったでしょうか? ものにもよると思うんですけどね。
中川:私が住んでる所からの距離もありますね。
中西:わざわざ1回行って言うわけですか? 電話とかで言ってると分からないですからね。
中川:そうです。シェムリアップだったら、もうほんとにバイクで1時間か2時間でやり取りできますけど、今、バスで1日かけていかなきゃいけない所もあったりするんで、そういう所とは、やっぱり2、3カ月かけてみんなすごい、ほんっとに「あー、外人が外国に出て商売をするって、ほんとに大変なんだな」っていう出来事がいっぱいあったんですよ。
バスに乗って、1日ぐらいかかって行かないといけない村の人たちと、ある商品を作ろうっていう話ができて、「作ってください」。「持ってきました」。「駄目だからもう1回作り直してください」。「持ってきました」。で、何回かやり取りをしてやっと・・・というのがあったんですね。で、「じゃあ、これを、この色は20個、この色、20個、この色、20個」って100個ぐらいオーダーしたんです。
いきなり、最初のオーダーが100ぐらいだったんですよね。まだ、全然カンボジアがなんたるかも分かってないぐらいな時期に。で、「オッケー、分かった。じゃあ、作るね」って言って、1カ月ぐらい経って送られてきたものが、私がオッケーだしをしたサンプルとは、似ても似つかないもの・・・
中西:形も全然違う?
中川:まず、サイズが全然違う・・・
中西:バラバラで・・・
中川:「あなたたちどこまで自由なんですかっ!」っていうぐらい、違ったものが送られてきてアイタタタ・・・
中西:極端なことを言うと、完成品と同じようなものが1個もないぐらいな感じだったんですか?
中川:半分ぐらい駄目でしたね。
中西:そのときはどうしたんですか?
中川:それで私が考えたのが、やっぱりカンボジアの人たちを、もっと外国人にも通用するレベルに引き上げてあげたいっていう気持ちがすごく強かったんですよね。これで、もしオッケーしてしまったら、彼女たちは、自分のミステイクも受け入れてもらえるんだって間違ってしまうから、私がオッケー出ししたサンプルと違うものは全部返したんですよ。
中西:お金を払わずにね。はい。
中川:そしたら、めちゃめちゃ怒って・・・
中西:怒って。
中川:めちゃめちゃ怒って、「もうあなたとは二度と仕事しない!」って言われました・・・
中西:カンボジア人の人が怒るってちょっと珍しいですよね。
中川:「あなたのために時間を割いて、もちろん私の家族だけでは作れないから、ほかの村の人にお願いして作ってもらったから、返されても私は、その人に支払わなければいけないんだ」と。ていうか、「全然、私がお願いしてたものと違うものだから、しょうがないよね」とこっちは思うんですけど、当人たちはそんなことは関係ないからっ・・・ていう事件があって、私は、また、違う作り手さんを探さなきゃいけなくなったんですよね。
失敗から学んだこととは?
中西:それで、そこの人とは終わっちゃったんですか?
中川:そこから私が学んだことは、1回目のミスは受け入れてあげよう。次のつくり手さんとお仕事をしたときに、やっぱり100%完璧ではなかったんですよ。でも、最初のときに、「今度は、こういうオーダーしたサイズとは違うものが届いてるけど、今回はお金を払うけど、次に違うものを作ったときは、もう払わないから、それはちょっと考えて作ってくださいね」って言ったら、ほんと作ってくれるし、それを私が、例えば、ちょっと若干違うものができて、これは売り物にならないって思って返しても怒らなかったんですよ。
中西:ほう。
中川:ほんとに違う国の人たちと一緒に仕事をするっていうことは、とてもとてもハードルが高いことだと思います。
中西:彼らのやり方とか、考え方とは、折り合っていかなくちゃいけないってことですもんね。
中川:ねえ。私もちょっと上から目線で多分接してたんだと思うんですね。でも、1つそこを同じところに、同じラインに立って、で、持ち上げて、持ち上げて、持ち上げて、上がっていこうよ一緒に!っていうふうにしなきゃいけないんだなっていうのを学びましたね。
中西:ちょっと手痛い勉強になったけど、いい勉強でしたね、でも、それもね。
中川:今言ったのは、ほんの1サンプルですよ。ほかにもいっぱいありますから。(笑)ほんとに・・・もうね、言葉を失いますよ。唖然とするというか。
中西:例えば、違うものができあがってくるというのは、よくある話ですよね。ほかになんか、もっと面白い話がありそうじゃないですか、何か?
中川:あります、もう。それとほんと思ったのが、やっぱり日本人は教育を受けてるから、これをしちゃ駄目、あれをしちゃ駄目っていうのが、言われなくても、ある程度分かるんですね。でも、カンボジア人って、教育を受けてない村のほうの人たちだと、だから、駄目なことといいことの差が分からないで、自分の好きなことがいいことなんです。
中西:ああ、なるほど。
中川:それは、ほかの人が考えたらいいことが、その人にとったらいいことではないし、やっぱり、教育を受けてない人と一緒に仕事をすることは、ほんとに「忍耐」ですね。
中西:でも最初、ちゃんとすりあわすというのも大事でしょうけど、すりあわしたとしてもズレていく。そんな人にもぴったりと意思の疎通ができるわけじゃないですもんねえ。
中川:よくできないことが多々ありますもんねえ。
中西:うーん。多分その感じだと、今もそういう苦労とともにやってるっていう感じですね(笑)。
中川:(笑)はい、びっくりしますよ。
つづきます ⇒ (3本目 お土産屋さんってどんな人が来て、何が売れているの?)
【海外どうでしょう】管理人:中西 賢一
■ インタビュー日:2015.02.09