海外どうでしょう

Read Article

カンボジア孤児の自立支援!ボランティアの新たな仕組みを作る挑戦【岩田亮子】(3/7)

スポンサードリンク

「Hope Of Children(ノリア孤児院)」岩田亮子氏アップ画像
今回のインタビューは、バッタンバンの孤児院『Hope Of Children(ノリア孤児院)』をボランティア支援している岩田亮子さん
日本航空の元客室乗務員という華々しい経歴を投げ打って、55歳で単身カンボジアへ。
波乱万丈なカンボジアでの活動を微塵も見せないこのさわやかな笑顔とバイタリティあふれる行動力。
現在、あらたな子どもたちの自立支援の仕組みである「カフェHOC」を軌道にのせるために奮闘中。
子ども達が直面している教育の問題、今に続く内戦時代の負の遺産、カンボジアの孤児院の現状など、岩田亮子氏にたっぷりと語っていただきました!

岩田亮子(いわたりょうこ)氏
カンボジア・バッタンバンの孤児院『Hope Of Children(ノリア孤児院)』運営。
カンボジアの子どもたちの自立支援を2008年から続ける。
人気のテレビ番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」にも紹介される。

今回の岩田亮子さんとの対談インタビューラインナップ!
本記事は、全7本のインタビュー動画の3本目となります。


1本目 孤児院にはどんな子ども達がいるの?その子ども達にどんなことをしているの?
2本目 今に残る内戦による負の遺産とは?私だからこそできる期限のない活動とは?
3本目 初めての田植えで大失敗?最後にあがいたありえない行動で奇跡が!
4本目 なぜカンボジア?子どもの自立支援ってどのくらい時間がかかる?
5本目 カンボジア野菜は農薬だらけ?無農薬バイオ野菜を提供する難しさとは?
6本目 新しい自立支援の仕組み「カフェHOC」は子どもがオーナー?
7本目 カンボジア「ノリア孤児院」であなたも働いてみませんか?
特別動画 岩田亮子さんからあなたへのメッセージ


生の声、現地のライブ感が伝わる【動画版】はコチラ!

↓        ↓        ↓  

はじめての田植えで大失敗!そして最後にあがいたありえない行動でおきた奇跡とは?

中西賢一(以下、中西):相当数の失敗をしたっていうお話だったんですけど、紹介できそうな失敗みたいなのってなにかありますか? (笑)

岩田亮子(以下、岩田):ありますよ。いっぱいありますよ。いっぱいありすぎて何から言ったらいいか分からないんですけど (笑)最初は何も知らない農業をとにかく「食べなくちゃいけない、この人たちは」と思ったでしょ。で、米を作ろうと。お米を作ったことがないんですね、私。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:日本でそういう農家出身でこちらに来たわけじゃないですからね。(笑)

岩田:そうじゃないし。で、一緒にやろうとしているお坊さんも作ったことがないわけですよ。2人して作ったことがないんだけど、でも、2人とも食べさせなきゃいけないっていうところでは共通しているわけで。やっぱり、じゃあ、お米を作らなきゃということで。ここの国には四季がないんですよね。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:ずっと同じようなね。

岩田:でも、乾季と雨季があるわけです。その中で米を作るには、どこからスタートしたらいいとか、とかいうのはあるわけですよね。

中西:そうですね。確かに。

岩田:だけど、2人とも気持ちが焦ってるし、私が来たのが7月だったんですね。7月の終わり。で、活動をスタートしたのが8月の頭なんですけど。8月の1カ月間くらいは「何をしたらいいんだろう」とか、「どうやってやってったらいいんだろう」ということで、まず、ずっと子どもたちとコミュニケーションを取る段階で1カ月があっという間に過ぎてしまって、9月からやっと「じゃあ、何か作ろうか?」って。9月に「田植えをしようか?」って。そのためには畑も用意しなくちゃいけないですしね。それはたまたまNGOが来ていて、学生のNGOなんですけども、その学生のNGOが、ちょうど同じようなことを考えてたらしく、「畑やったらいいと思ってます」とかって。少しそのための種とかお金を持ってきてたんです。それに私も乗っかって、「じゃあ、一緒にやりましょう」っていうので、田んぼを買って始めたんだけど、9月ですよ。9月っていうと、ここの雨季は10月で終わるんですね。もう乾季が始まるわけですよ。だから、9月から田植えをして米を作るって人はいないんですよ、普通ね。ちゃんと灌漑設備があるところは、そうじゃないですよ。そういう灌漑設備ももちろん何にもないですよ。いきなり植えようとしてるんだけど、周りはやってないのにうちだけ田植えを始めたわけですよ、そんな時期に。9月はいいですよ。降ってました。10月に入ったら肝心な・・・9月の半ばに植えたんですけど、1週間ぐらいしたら、全然・・・10月で。ほんとは10月はもう少し降るはずだったのに、その年は降らなかったんですね。計算違い。読んでなかったし、読めてなかった。それでムニさんも私も「どうしよう、今米にとって一番水が大事なときに・・・」
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:一番グングン成長しなきゃいけないときで・・・

岩田:そうなんです。川から引っ張って来ようにも川にも水がないので、どうしようっていうことになって、それでムニ様が思いついたのが雨乞いですよ。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:こんななんかお祈りして・・・

岩田:そう。もう神に。もう神にすがるしかないじゃないですか。笑うでしょ。普通は笑うんですけど、でも、もう笑ってられない状況だったのね。でも、ムニ様はおっしゃった。「雨が降らなくて困ってるのは何も仏教徒だけじゃない。僕たちの周りにはイスラム教徒もいればキリスト教徒いる。みんなで祈れば雨の1滴や2滴は降ってくれるかもしれない」って、私は「そうかもしれない」って思ったんですよ。もしかして、もうなんでもいいからやってみなきゃって思ってたから、それで、ほんとに皆さんに声をかけて、イスラム教徒、キリスト教徒・・・
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:みんな集まってしたんですか?

岩田:そう。やったんですよ。普通そんなのありえないし、もしかしたら何か暴動が起きるんじゃないかって思って、警察は取り囲むし、大変な儀式になっちゃったんだけど、それでもやったんですよ。・・・2日後に降った!
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:へえー。

岩田:すごいでしょう、ねえ。だから、なんでも「そんなこと」って言っちゃいけないんですよ。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:ちょっと僕らだったら科学的じゃないなとかってなっちゃいます。(笑)

岩田:科学的じゃない。全然科学的じゃない、全く何の根拠もないんだけど、それをするぐらいしかないんですもん。でも、通じますよね。念ずれば通ず。まさにそう思って、その雨のおかげで獲れました、お米。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:1回目はちゃんと獲れたんですね。

岩田:ちゃんと獲れたんです、1月に。最初の収穫。田植えの仕方も分かってなかったんで、もちろん、土地の見方も分かってなかったから、田んぼはひどいところをつかまされてたんですね。なんで売ってくれたかっていうのが、あとで分かったんですけど・・・
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:そこがあまり使い物にならないからみたいな・・・

岩田:真ん中が盛り上がってる土地だったんです。ここは牧草地帯なので、田んぼがいっぱいあるんですよ。その田んぼのど真ん中だったんですね。だから、そんな悪いわけないと思って、そこには、既にお米は植わってたんです。そこを売ってくれるっていうんだから、こんないい話はないと思って、そこの刈り取りもして、始めたんですよ、田植えを。ところがどっこい。真ん中が盛り上がってるから、そこには水が行かないんです。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:もう地形的に・・・

岩田:地形的にこう・・・

中西:どうしようもできないんでしょう。

岩田:で、知らなかった。あとでそれが分かったんです。なんで水が全部こう回りに行っちゃうのかっていうのが分かって、もう一度全部耕して次の年にまた・・・

中西:まっ平にして?

ボランティアの定番「井戸掘り」の問題点とは?

岩田:そう。できましたけど。そういうこともやってみてやっと分かったし、雨が降る、降らないっていうのは、大きいことだっていうことも分かったし、水っていうのは、ほんとにライフライン。私たちにとってもそうだけど、米にとってもそうで。農業をやるには、なくてはならないライフラインだっていうことも学んだし。だから、おかげで子どもたちの水の問題は、生活用水もそうだったんですけど、ほんとにひどい生活用水を使っていて、池の水を。で、身体中に湿疹ができているような状況だったんですね。それも含めて、水っていうのは、ここの国のまず最初の解決しなくちゃいけない問題だっていうことも知らされて、だからこそ、ODAでJICAなんかが来て井戸をいっぱい掘ってったんですけど、結局掘っていった井戸のあとの処置をしてないから、壊れたままの井戸がいっぱい使えなくなってあるんですよね。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:それはよく聞く話ですね。

岩田:そこですよね。2、3年で帰って、そのあと壊れたときにどういうふうな何を使って・・・「どうなったらどういう修理をして、あと使えるんだよ」っていうことは教わってない。だから、使えなくなった井戸が寂しげにいっぱい残って・・・
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:ねえ。ずっと残ってますよねえ。

岩田:そういうことにならないためにも、長く使うためにはどうしたらいいのかとか、壊れるということを想像してないっていうこと自体が、おかしな話で、モノはやっぱり壊れるわけで、どんな国でも。そういうこととか、日本であったら、手に入りそうなものが、ここでは手に入らないってことも考えて、ここにあるものの何でそれが対応できるのかとかもね。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:そうですよね。何かあんまり手に入らないものでこう井戸を作り上げちゃっても困りますよねえ。

岩田:ほんとにそう。そういう何かボタンの掛け違いみたいなのが、やっぱり最初のころに自分でやって「あー、そうなんだ」っていうことに気づいたっていうことですよね。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
中西:ほんとに一歩一歩積み上げていったっていう感じなんですね。

岩田:1回1回そうやって失敗して「あ、学んでる」。未だに学んでいるんですけどね。
カンボジア・バッタンバン「ホープ・オブ・チルドレン」岩田亮子氏と中西賢一対談画像
つづきます ⇒ (4本目 なぜカンボジア?子どもの自立支援ってどのくらい時間がかかる?

■ インタビュー・撮影・編集
【海外どうでしょう】管理人:中西 賢一
■ インタビュー日:2015.02.24
Return Top