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カンボジアボランティアから社会を変えるビジネスへ!熱血漢の新たな挑戦【中江大樹】(2/5)

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カンボジア中江大樹氏アップ画像
今回のインタビューは、『ORCHUN CROWN』代表である中江大樹さん
学生時代からカンボジアでのボランティア活動に従事。「井戸」や「学校」といった日本人定番のボランティア活動の問題点や矛盾などから、石鹸をつかった「手洗い」のボランティアを開始。「衛生」という概念のないカンボジアで草の根的に活動し、実績をあげる。
カンボジアにおける学生のボランティア活動のおかしな実態とその問題点は?ボランティアされる側のカンボジア社会の課題は?
学生ボランティア活動の裏側を知り尽くし、カンボジア社会にも深く入り込んでいる中江大樹氏に、たっぷりと語っていただきました!

中江大樹(なかえだいき)氏
『ORCHUN CROWN』代表、『C.S.Design Office』デザイナー、『関西カンボジアネットワーク』副代表。
学生時代から、ボランティア、ビジネスにおいて、カンボジアと深くかかわる。
日本とカンボジアを行き来して、関係強化、発展に尽力している。

今回の中江大樹さんとの対談インタビューラインナップ!
本記事は、全5本のインタビュー動画の2本目となります。


1本目 石鹸が命を救う?学校を作るボランティアの問題点と葛藤から選んだ道とは?
2本目 井戸掘りボランティアは大迷惑?掘ることより大事なこととは?
3本目 アパレルビジネスで手痛い失敗?納期遅れの無限ループとは?
4本目 死ぬかと思った!コレラから命を救った伝統療法「クルクメール」とは?
5本目 中江氏の今後の展開とビジョンとは?心に留める近江商人の教えとは?
特別動画 中江大樹さんからあなたへのメッセージ


生の声、現地のライブ感が伝わる【動画版】はコチラ!

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井戸を掘るボランティアって迷惑なの?

中江大樹(以下、中江):井戸に関しては、僕が5年前から支援先として起居する農村に最近また井戸ができたんですね。

中西賢一(以下、中西):日本の支援で?

中江:「日本の学生が、支援しました」とまさに例のプレートがあったんです。「誰々が掘りました」みたいなの。で、井戸って1本いくらぐらいでできるか知ってますか?
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:いくらぐらいだろう?

中江:井戸一基。20メーターから30メーター掘って管を通して、上にポンプを付ける。それ、いくらぐらいでできるか?

中西:100万円ぐらい?

中江:って思いますよね。実際300ドルなんですよ。3万円ぐらいで井戸掘れちゃうんですよ。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:そんな安いんですか?

中江:メッチャ安いんですよ。なので、学生とか、日本から来る人でも、手軽というかもう気軽にできちゃう支援なんですね。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:そんな簡単なんだ。

中江:だからそれで、井戸を掘りましたと。で、看板を立てて、自分らの団体の名前を彫って、写真を撮るのがメチャクチャ多いんですけども。実際そのあと、日本でもそうですけど、井戸って掘ったあと水質検査をするじゃないですか? 飲める水がどうか。その検査費用が逆に20万ぐらいかかるんですよね。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:カンボジアで?

中江:カンボジアで。

中西:結構高いんですね?

中江:結構高いんですよ。もちろん項目によるんで、安いとこは安いんですけど、ちゃんと日本でも調べるようなヒ素が出てないか、六価クロムが出てないかとか、残留農薬が入ってないかとかいうのを18項目調べたら20万ぐらいかかるんですけど、逆にそっちをしないんですよ、みんな。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:掘るだけ? そこで終わり?

中江:井戸を掘って引き渡して「はい、終わり」なんですよ。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:じゃあ、もしかしてそれを飲んじゃったら病気になっちゃう人も出てくる・・・

中江:そうなんですよ。その可能性があるんで、僕は、新しくできた井戸を水質検査をしたんです。日本の別の企業さんから協賛金というかたちで頂いて。

中西:そのお金で調べたと?

中江:4基、井戸4か所。全部で80万円ですよね。かけて調べたんですけども、そのうちの1つからマンガンが出てきました。マンガンって重金属の1つなんですけど、1歳未満の子供が15cc飲んだら、脳の発達障害が起こりますという。15㏄って目薬1本ぐらいです。でも、それを実際に周りの人は飲んでる。

中西:もう飲んでるんですか?

中江:危ないじゃないですか、みんな。幸いそこはそんな小ちゃい子どもがいない地域だったんで・・・

中西:けど、大人だって・・・

中江:大人でもそうです。回数飲めばダメなので、そこは、すぐに「使わない井戸」ということで一応プレートをかけて・・・

中西:もう塞いじゃって・・・

中江:はい。で、ほかの井戸を使ってください。安全なところをガイダンスしたんですけど。だから、それを知らず、日本の学生がバーッと来て、井戸を掘って、村の人は分からないですよね。水が出て「ワーっやった」って「水が飲める。ありがとう」って。今でも僕が行ったときでも「日本の方が支援をしてくださった井戸なんです、ありがとうございます」って言いながらまだそれを飲み続けてたんですよ。もうなんちゅう光景やと思って。

中西:なんか、ねえ、全然、カンボジアのためになってないことをやってるみたいな・・・

中江:もうありがた迷惑どころか、ただの迷惑なんです。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:ほんと迷惑ですよね。(笑)

中江:これね。そんなこともすごいあったりとか。さっきの学校の例もそうですけど。

中西:いろいろね。中江さんがボランティアをやっていると、いろいろ矛盾とかをすごい感じて大変だったんじゃないですか。ストレスが溜まって。

中江:そうですね。そういうリスクが起こらなへんようにっていうのは、常に考えてましたね。例えば手洗いなんかをして、村の地域の人の手洗い、手指衛生を通して、安全と言っていても、例えば石鹸よりも洗剤のほうが安いこと、お皿洗いとか服を洗う洗剤のほうが安いとなって、それを使い始めたら、やっぱり手が荒れてくるんじゃないかとか。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:それで手を洗ったりするわけですか?

中江:安いから買う人がいるんですよ。「そっちのほうがいいわ」って。で、それをやったら手が荒れたりとかじゃなくても、やっぱり固形石鹸よりも界面活性剤が多いんで、それがそのまま田圃とか畑に流れていくわけですよね。「じゃあ、そっちのほうの環境はどうなるの?」とかもあるんで、そっちをならへんようにと、そのあともちゃんとフォローアップはしたりというのは定期的に・・・

中西:どんどん広がっちゃってね。やる範囲が。

中江:そうなんです。やっぱりやっていく中で、たがか手洗いやけど難しいなって。「手を洗いましょう」ってのを教えるだけでも時間がかかるんですよ。そのあともそういうリスクが付きまとうんで。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:それでほんとに石鹸を買い続けてもらわないとね。その効果っていうのは続かないですもんね。

中江:続かないんで、それを常にずっとフォローアップできたらいいんですけど、学生のボランティア団体とかだったら、少なくとも4回生で卒業したら終わるわけじゃないですか。次の代に引き渡しで、また「初めまして」から始まってるような問題が、やっぱり続いていく。そういう問題もあるんで。それをどうするかっていうのもあって、僕はこっちへ来たっていうのは実はあったんですけど、始めは。

カンボジアのどこが気に入ったの?

中西:なるほど。今はそういう中江さんの意思は後輩の方が継いでやっているということで、どうしてもボランティアとかNGOというと、日本の方にもカンボジアってすごいイメージが強いと思うんです。つながりがあって、やっぱりそこからカンボジアに来ようってそもそもやっぱり、ボランティア、NGOって、カンボジアっていうのがきっかけだったんですね。来るきっかけだったんですね? カンボジア以外の国っていうのは別に対象にはならなかったのですか?
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中江:そうですね。旅行では、行ったことはあるんですけどね。当時カンボジアに来たのがきっかけで、「すごい面白いな」と、「ほかの国も見てみたいな」って気持ちもあったので、バックパッカーで旅行ではそれぞれ2,3週間ずつ行ったりとかはしたんですけど、東南アジアの国、いろいろ行った中で一番しっくりくるのが、カンボジアというか、恋愛あるじゃないですか、恋愛。なんですかね。性格悪そうな女の子でも実際話してみたら「すごいええ子やんか」いっそギャップ萌えっていうんですか?
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:ギャップ萌え。

中江:それがあって、治安が悪そうで、「戦争とかやってるんちゃうの?」「地雷とかあるんちゃうの?」とか、ネガティブイメージから入ったカンボジアで、すごく温かくこっちの人がもてなしてくれたっていう。なんかそんなんが、ギャップ萌えでしたね、僕は。

中西:どうしても、日本で一般的なカンボジアのイメージっていうと、やっぱり地雷とかね。

中江:地雷。そんなんで暗いあれになりましたから。

中西:そういうイメージでしたね。

中江:すごい温かいなあと思いました。

中西:けど、通常NGOとかボランティアの活動って学生時代だけで終わるパターンが多いと思うんですけれども、中江さんは学生時代にとどまらず、ずっと卒業してからも続けてるわけじゃないですか? それは、なぜそこまでカンボジアにがっつり・・・やっぱりギャップ萌えがまだ続いてるっていうこと・・・

中江:ギャップ萌えは(笑)そうですね。ずっと続いてるのもありますし、やっぱり居心地がよかったりとか、いろんな新しい出会い、新しい発見があるんで、そんなんが刺激的でというのもあるんですけど。今、自分で思ってるのは、外側から日本を元気にしたいというか、ちょっとスケールが大きくて、なんかおこがましいかもしれないんですけどね。 やっぱりカンボジアって、日本と比べたら、どうしても発展途上の国なので、貧しい国って思われがちですけど、日本を元気にするエッセンスってすごいここにあると思うんですよ。短期で旅行に来た方とかもいるんですけど、「オールウェズ三丁目の夕日」みたいな、ちょっと日本の昔のような・・・
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:昭和時代を思い出す(笑)

中江:昭和のような、懐かしい雰囲気を感じるとおっしゃる方がすごい多いんですね。特に50代60代ぐらいの方とか、そうおっしゃるんですけども、当時の日本もそうだったかもしれないんですけど、「もっと国をよくしよう」とか「自分たちの生活をよくしよう」とかで、上に上にって向かっていたんです。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:高度成長期ですよね。

中江:そうなんです。あのときの生気あると思うんですけど。

中西:働いたら働いた分だけ何か入ってくるような何かね。

中江:そうなんですよ。でも、今の日本って同級生から見てもそうじゃないじゃない。 「普通に卒業して、普通に会社に入って、普通に生活できたら、それが幸せやわ」ところじゃないですか。そうじゃなくて、カンボジアは元気の源があるっていうか。
カンボジア中江大樹氏と中西賢一対談画像
中西:じゃあ、これを日本にもそういうようなパワーを伝えていこうと。

中江:そうですね、はい。

つづきます ⇒ (3本目 アパレルビジネスで手痛い失敗?納期遅れの無限ループとは?

■ インタビュー・撮影・編集
【海外どうでしょう】管理人:中西 賢一
■ インタビュー日:2015.02.13
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